– かさね がさね –
中野の商店街にあるまちの牛乳屋さんを、一階を喫茶店、二階を洋服作りのアトリエに改修した。
施主は既存の建物と、素材の時間による風化も気に入っていたため、それらをなるべく活用することを目指した。具体的には各階の間仕切り壁を解体し、風通しを確保する以外は大きな改修はせず、元々のモルタル壁やタイル、建具枠等は現状のものを使用し、鉄部は現状の風化の進行を遅らせるための処置に留めた。
そして本物件と同時期に施主のご実家の解体が重なったため、思い入れのある建具や金物、照明器具などを選定し、移設した。
また本物件では、職人の手によって、通常の倍以上の時間と手間をかけて解体を行うことで、壊すことが作ることと直結するような工事計画とし、結果的に新規工事を減らすことができた。
そうして生まれた空間はもともとの建物にある歴史と、施主の原風景、そして新規の要素が重なり合う、懐かしくも新しい、厚みのある風景となったのではないだろうか。
(2024.1~2024.12)
所在地/東京都中野区(喫茶Mみー)
主要用途/飲食店、ギャラリー
構造・規模/鉄骨2階建て
Photo by STUDIOONK